シンフォギア4期の圧倒的ナンセンス

はじめに

この記事はシンフォギア Advent Calendar 2017の24日目です。
第4期「戦姫絶唱シンフォギアAXZ」について書こうと思います。
多分にネタバレを含みますのでご注意下さい。

ナンセンス

シンフォギア 1 〜 3 期では、見ているうちに感じるものがありました。
それは生き方であったり、マネジメントであったりNLPだったりしました。
それらは、体系的に思考可能な対象です。
 
しかし4期から感じたものはナンセンスとしか言い様がありません。
ただし、つまらないといいたいわけではありません。
Wikipediaのナンセンス文学の項から引用しましょう。

「ナンセンス」の多くは本質的にはユーモアに属するが、それは「意味を成す」ことによって面白みが引き出される大多数のユーモアとは反対に、「意味を成さないこと」によって成立するユーモアである

4期は全体がユーモアであると言えるでしょう。

冒頭

冒頭、なんと人間の軍隊と戦います。
どうやらシンフォギア装者には銃撃とか効かないみたいです。
 
響が戦車を破壊するとオペレーションルームの状況報告シーンへ。
「昨晩対戦車用に視聴した映画の効果がてきめんです。」

f:id:smile_0yen:20171224092147p:plain アニメ:戦姫絶唱シンフォギアAXZ(第4期)/ ©Project シンフォギア

風鳴機関本部破壊

風鳴機関本部は、戦時中からの貴重な資料が残っている秘密機関です。
そして、今回の敵、パヴァリア光明結社にとって不都合な情報が収められていました。
 
ここで戦闘が始まるわけですが、途中で統制局長のアダムが突如登場します。
登場直後、彼はなぜか裸になり、掌で発生させた核融合で施設を破壊しました。
 
彼の部下であり錬金術師のプレラーティは言いました。
「ナニを見せてくれるわけだ!」
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アニメ:戦姫絶唱シンフォギアAXZ(第4期)/ ©Project シンフォギア

風鳴司令の訓練

1期から薄々気づいていましたが風鳴弦十郎司令こそ最強戦力。
 
シンフォギアは冒頭のように物理兵器を容易に破壊する人外の武器です。
しかし司令はそれを軽く受け止めます。
 
クリスは叫びます。
「ウソだろ?!」
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アニメ:戦姫絶唱シンフォギアAXZ(第4期)/ ©Project シンフォギア
 
攻撃も半端じゃありません。
というか目が赤く光ってるんですが...
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アニメ:戦姫絶唱シンフォギアAXZ(第4期)/ ©Project シンフォギア

第4期の感想

ナンセンスなシーンが多すぎて逆にどれをピックアップするか悩みました。
あの素晴らしい第3期のあとに何があったのでしょうか。
 
4期は奇抜な演出や派手なアクションに超絶振り切ってしまいました。
スッキリ感とユーモアは出たかもしれませんがもはやギャグアニメの域です。
 
これまでの傾向から、次は人間の内面に迫ってくれるのではと期待しています。
来年放送されるであろう第5期か楽しみです。

シンフォギア・セラピー

はじめに

この記事はシンフォギア Advent Calendar 2017の17日目です。
第3期「戦姫絶唱シンフォギアGX」について書こうと思います。
多分にネタバレを含みますのでご注意下さい。

心の闇とシンフォギア

呪われた魔剣ダインスレイフの力をギアに組み込んだイグナイト・モジュール
心の闇を増幅し、人為的に暴走状態を作り出すことでギアに隠された力を解放する。
その衝動を押さえ込み制御するのは装者。
 
そう、必要なのはカウンセリングです!
 
今回は1970年代半ばのアメリカで生まれた(*)NLPから読み解いて見ましょう。
NLP神経言語プログラミングと訳される心理療法の技法です。
*1973年まで続いたベトナム戦争の帰還兵対応が背景にあるようです。
 
対象とするのはマリア、翼、クリスの3人です。
(響は未来の存在が全て解決してしまいますし、切歌と調は純粋で闇が浅過ぎます)
 
なおNLPはその後、第2世代、第3世代と現代に至るまで発展を続けています。
現在はカウンセリングのみならずコーチングやスピーチなどに応用されています。
クリントン元大統領やオバマ元大統領など歴代の大統領も演説に取り入れています。

マリア・カデンツァヴナ・イヴ:一般化(必要性の叙法助動詞(must))

「弱い自分を、殺すんだっ!」
 
マリアは表面的に見ると自信に満ちた人物です。
しかし、運命に翻弄されてきた過去の悔しさを消化できずに抱えています。
もっと自分が強ければ...そう思っているのです。
 
自分に制約を課し、その他の選択肢が見えない状態。
このようなケースは一般化に分類されます。
 
本当にそうあらねばならないのか、というシンプルな問が有効です。
束縛から解き放ち、選択の幅を広げることで新たな可能性に目を開くのです。
彼女はエルフナインとの会話の中で制約の外を見ることができました。
 
「弱さかもしれない。でもそれは、私らしくあるための力だ。 教えてくれてありがとう。」
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アニメ:戦姫絶唱シンフォギアGX(第3期)/ ©Project シンフォギア

風鳴 翼:制約のビリーフ

「そうだ、この身は剣。夢をみることなど許されない道具。剣だっ!」
「お父様に少しでも受け入れてもらいたくて、この身を人ではなく道具として...剣として研鑽してきたのだ。」
 
翼は父との間に確執を抱えていました。
風鳴という防人の家に生まれたがため、その役割に翻弄されてきたのです。
父に、お前は風鳴の道具、と冷たく扱われる日々。
 
環境によって形成された思い込みをビリーフと呼びます。
周囲の出来事はビリーフによって意味付けされます。
翼は「父は私を疎んでいる」というビリーフを持っています。
 
このような制約になるビリーフを変える手法は複数あります。
しかし、今回は戦いの中で父自らが教えてくれたのでした。
「(道具にも、剣にも)ならなくていい!夢を見続けることを恐れるな!」
 
父が翼に冷たく当たってきたのは、翼のためでした。
家から遠ざけ、翼が夢を追えるようにしたかったのです。
 
「貴様はこれを剣と呼ぶのか。否。これは夢に向かって羽ばたく翼!」
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アニメ:戦姫絶唱シンフォギアGX(第3期)/ ©Project シンフォギア

雪音 クリス:ビリーフ、因果の歪曲

「残酷な世界がみんなを殺しちまって、本当に一人ぼっちとなってしまう。」
 
クリスは戦地で両親を失いました。
そのため、大切なものを失うことへの恐怖に苛まれ続けています。
その恐怖から因果の歪曲が見られます。
 
自分に大切なものができると、世界がそれを奪っていく。
これも翼のケースと同じ誤ったビリーフですね。
また、このクリスのケースは因果の歪曲とも言えそうです。
 
例外の存在など、因果関係を具体的に捉え直すことによって解消が見込まれます。
実際にクリスがはっとしたのは戦いの中で切歌、調に助けられたときでした。
 
「世界は大切なものを奪うけれど、大切なものをくれたりもする。」
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アニメ:戦姫絶唱シンフォギアGX(第3期)/ ©Project シンフォギア

第3期の感想

第2期でやりすぎたと反省してくれたのでしょうか。
イグナイト・モジュールのお陰で心理描写が非常に多くなりました。
各人が心の闇を払って新たな力を得、敵に立ち向かう姿は素直によかったです。
 
あのマムを持ち上げるのはどうかと思いましたが。
 
今回の記事でNLPについてあらためて考える機会が得られました。
シンフォギアには、

  • お約束通りのヒーローズ・ジャーニー
  • 派手なアクション
  • かわいいキャラクター

などなどスッキリさせる要素が詰まっています。
シンフォギアを視る行為には一定の心理的効能が期待されると言って良いでしょう。
これからはこのアニメを勧める行為をシンフォギア・セラピーと呼びましょう。

マムの絶望的なマネジメント

はじめに

この記事はシンフォギア Advent Calendar 2017の8日目です。
第2期「戦姫絶唱シンフォギアG」のマム(ナスターシャ)について書きたいと思います。 多分にネタバレを含みますのでご注意下さい。

マムのアンチ・ドラッカー・パターン

マネジメントといえば

マムことナスターシャ率いるフィーネ (または F.I.S.) は第2期の騒動の中心となる組織です。
世界を裏切って偽情報を流す米国に代わり、月の落下を防いで人類を救うことが目的です。
しかし、マムのマネジメントが酷過ぎて自体はどんどん深刻化してしまいます。
 
マネジメントといえばドラッカーですね。
経営学で有名な彼には「明日を支配するもの」という著作があります。
この本は世界の変化に対してどうすれば生き残っていけるかを説いた名著です。
本書とともにマムの行動を振り返り、どのような問題があったかを考えてみましょう。
 
*余談ですが本書でドラッカーはかの有名な「現代の経営」でとった立場は誤っていたと書いています。何が問題だったかというと、マネジメントに唯一正しい方法があるという考えに依拠したことです。労働形態の多様化によって、唯一正しい方法はなくなったとしています。

冒頭

とはいえ、資金は重要ではあっても、最も稀少な資源というわけではない。 あらゆる組織にとって、最も稀少な資源は有能な人材である。
 〜 P.F.ドラッカー 「明日を支配するもの」(1999, ダイヤモンド社) より

ドラッカーは人材の配置について、体系的に徹底して取り組まなければならないと説きます。
その上でその結果を記録、評価し次のアクションへとつなげるのです。

冒頭、2人の歌姫、マリアと翼が共演する大舞台です。
世界中が注目しています。
突如、そのうちの1人マリアがシンフォギアを纏いノイズを召喚。
世界へ宣戦布告するマリア。
 
どうやらマムと呼ばれる人が手を引いているようです。
このマム...

  • 全米チャートインした大物歌手という最高の隠れ蓑を持つマリアを一瞬で世界の敵に。
  • マリアの口ぶり、挙動への反応からするに完全な打ち合わせ不足。
  • 明らかに体調不良。

マリアという大きなカードを切った割に期待値の擦り合わせすらできていない。
さらにはそれでも足りず手持ちの全戦力を投入。
 
その上、目的を達したのは結局、急遽マムが遠隔召喚した増殖分裂タイプのノイズ。
最初からそのノイズだけでよかった。
しかも装者の反応から見るにそのバックアッププラン、説明してなかったの?
   
f:id:smile_0yen:20171206064719p:plain ノイズを見て "こんなの使うなんて聞いてないデスよ" と漏らす暁切歌
アニメ:戦姫絶唱シンフォギアG(第2期)/ ©Project シンフォギア
 
残念ながらこの後マリアが世界に宣戦布告したことのメリットは何もありませんでした。
人材の使い方が最悪です。
 
この組織にはもっと上の、大ボスがいるに違いない。
そう思いました。

中盤

組織には、価値観について多様な側面がある。それらのうち一つでも自分ものと違うと、 欲求不満に陥り、ろくな仕事ができなくなる。
 〜 P.F.ドラッカー「明日を支配するもの」(1999, ダイヤモンド社) より

ドラッカーは組織と自分が同じ価値観を持つ必要はないと断りつつも、共存し得なければ成果は上がらないと説きます。
成果を出すために優先すべきは価値観であると。
 
中盤になると、もはやどう見てもマムがボスであることが疑いなくなってきました。
 
そんな、ある日のこと。
突如、迫りくる米国からの追手が監視映像に映ります。
マム曰く「異端技術を手にしたとしても、私たちは素人の集団」(5話)
見つからないとでも思っていたのか、という口ぶり。
   
「どうするの?」と問いかけるマリア。可哀想にマムを信頼していたようです。
そこでなんと、シンフォギアの力で追手を手にかけろ、とマリアに謎の覚悟を強いるマム。
まさに外道

f:id:smile_0yen:20171206063657p:plain マリアに追手の排撃を命じるマム
アニメ:戦姫絶唱シンフォギアG(第2期)/ ©Project シンフォギア

そもそも襲撃が予想できていたなら要員に伝えて計画を練って置くべきでは?
マリアに覚悟を決めさせるためにわざとギリギリまで秘匿したのでしょうか?
それとも考える間もなくタイミング悪く見つかってしまったのでしょうか?
 
どちらにしても非道い。
 
マリアには全米チャートに入る歌声と強力なシンフォギア、そしてカリスマがあります。
その力を大きく削っているのが出たとこ勝負させる情報隠蔽と余計なプレッシャーです。
 
最終的にはマリアではなくウェル博士がノイズ召喚で追手に対応しました。
組織の目的を遂行するための方法が他にも残されていたのです。
 
小さな組織なのです。組織からも人に寄り添うことでより大きな成果が期待できる。
価値観を曲げる決断を迫り続ける必要はなかったのではないでしょうか。

終盤

チェンジ・リーダーとして成功しようとするのであれば、いついかなる場合においても、 決して不意打ちはしないことを原則としなければならない。 特に組織の基本にかかわること、すなわち、組織の使命、価値、成果と業績にかかわることについては、継続性が不可欠である。 チェンジ・リーダーにとっては、変化が常態であるだけに、とくに基本を確立しておかなければならない。
 〜 P.F.ドラッカー「明日を支配するもの」(1999, ダイヤモンド社) より

ドラッカーは、自らが変革の先鋒にある組織だけが生き残ると説きます。
そして変化の先頭に立ち、生き残る者をチェンジ・リーダーと呼びました。
 
マムは「やさしい子たち」のために突如方針を変更します。
しかし組織内に説明はしません。
マリアと2人で決めてしまいました。
 
今までマリアに散々嫌な役を強制しておきながら一転です。
しかも交渉相手は最大の敵であるはずの米国政府。
そして当然の如く交渉の場で殺されかける2人。

f:id:smile_0yen:20171206065226p:plain 秘密裏に自ら裏切った米国政府と接触するマム&マリア
アニメ:戦姫絶唱シンフォギアG(第2期)/ ©Project シンフォギア
 
このときばかりは最大の悪役であるウェル博士がいなかったらどうなっていたでしょうか。
しかしその後、今度は目的を達したウェル博士にお役御免と裏切られるのでした。
 
マムは決してしてはならない不意打ちをしてしまいました。
直後の内部分裂が示すように、組織としては終わったのです。

マムまとめ

マネジメント視点というか、もはや人として成功する要因が皆無ですね。

  • ノイズを操る悪役として部下を世間に売る (その後の物語から見ても無意味だった)。
  • 部下が価値観上どうしてもやりたくないことを覚悟と呼んで度々強制
  • やっぱり間違っていた、と部下に命を懸けさせた計画を独断でひっくり返す
  • 志を異にする輩(ウェル博士)を利用した結果、逆に利用されて計画を台無しにされる
  • そもそもまともに指揮をとれないほどの体調不良

マムの指揮下に入ってしまった3名の装者は不運だったとしかいいようがありません。

2期の感想

1期よりも見た目は派手になり、絵としてはより楽しめるようになりました。
そして過去の偉大なアニメ作品へのオマージュ連発。
盛り込み過ぎとしか思えませんでした。
 
心理描写は削られ、華麗なアニメーションで魅せることに終始していたように思います。
その結果、展開があまりにも急過ぎると感じました。
前回書いたような心の動きに関する記事など書けるべくもありません。
 
*1期からつながるクリスちゃんの第4話を除く。1日目のふそやん氏の記事も御覧ください。
 
しかし、その中でもマムのやり方は際立っています。ひどい。
おかげでマネジメントについて考える機会が得られました。

リンク

風鳴 翼とセネカに学ぶ生き方

はじめに

この記事はシンフォギア Advent Calendar 2017の5日目です。
2017年も残りわずかですが、友人に勧められて2012年に1月〜3月に放送された第1期「戦姫絶唱シンフォギア」を見ました。もうすぐ放送されてから丸6年経過するので大丈夫だと思いますが、ネタバレを含みますのでご注意下さい。
 
セネカは紀元前4年頃から紀元65年まで生きたローマの政治家です。哲学者ではありませんが思想史にも足跡を残しました。

生と死とシンフォギア

装者の覚悟

シンフォギアをまとう装者は常に死と隣合わせです。
命を削る絶唱(*)を切り札とする彼女達は常に生と死の選択を迫られています。
 
そのような境遇で装者の1人である風鳴 翼はどう生きてきたか。
セネカの「人生の短さについて」に収められている警句を見ながら、彼女の「この身を一振りの剣と鍛えてきた」 姿を考察します。
   
* 特定の波長を持つ歌声をトリガーに秘めた力を開放された聖遺物が、歌声の持ち主に人ならざる力(シンフォギア)を与える。装者はその力を以てそれぞれが大切なものを守るため、人を消し炭に変えてしまう謎の生命体ノイズと戦う。しかしシンフォギアが与えるのは力のみではない。特に絶唱と呼ばれる力の解放では装者にも重篤なダメージが残り、最悪の場合、死に至る。

多くの者たちは他人の運命のために努力するか、あるいは自分の運命を嘆くかに関心をもっている

セネカは語る。
本来、人の一生は十分に長い。しかし多くの人はそれと意識せず他人のために時間を使うか、余計な思い煩いに費やしてしまう。

翼はまさに自らの運命のために戦い続けてきました。
それは一時、友を失った贖罪でもありましたが、ひたむきに生きる姿は見事。
怠けることなく、余計な野心もない。
 
さらに、文字通りの死線を乗り越えて、彼女は心の在り方を見直します。
自らの心の声に耳を傾け前を向く9話の姿は感動無しに見られません。
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自分の声をもっと多くの人に届けたいと、海外進出についてファンに語る翼
アニメ:戦姫絶唱シンフォギア(第1期)/ ©Project シンフォギア

長く生きたのではなく、長く有ったにすぎない

セネカは警鐘を鳴らす。
あちらこちらへと周囲に振り回される人生は、長く生きたとは言えない。
ただ長く翻弄されただけであると。

翼は自らの役割を決して忘れません。
時には防人として命も賭けます。
むしろ目的を見続けるが故に周囲も本来の自分も目に入らなくなってしまうことがあるくらいです。
 
けれど、彼女が歩みを止めることはありません。
まさに生きている。
そして彼女には、そんな彼女に気を配ってくる奏がいたし、今は響がいるのです。
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響に誘われお忍びで街へ繰り出す翼
アニメ:戦姫絶唱シンフォギア(第1期)/ ©Project シンフォギア

彼らは夜の来るのを待ち焦がれて昼を失い、朝の来るのを恐れて夜を失う

セネカは嘆く。
人々は不安から快楽を求め、手に入れると今度は失う不安に苛まれる。
そしてその不安を埋め合わせるために...
不安に囚われているうちに本来活用すべき現在をも失ってしまい、人生が短くなるのだ。

翼は過去を忘れません。現在を生き、未来を守ります。
奏はもういませんが、彼女と共にあり、力を与え続けてくれています。
そして守りたい大切なものが、未来が彼女に力を与えます。
 
過去と未来から力を得、現在に時を集めて輝く者セネカ賢者と呼びました。
その真っ直ぐな姿を見習いたいものです。
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奏に導かれる翼
アニメ:戦姫絶唱シンフォギア(第1期)/ ©Project シンフォギア

1期の感想

難しいことを考えずに感じるアニメだと勧められて見たアニメですが、図らずも生きるとはどういうことかについてあらためて考える機会となりました。1期の作画は微妙ですが、個々のキャラクターはかわいいところもありますし、戦闘系アニメとしても楽しむことができると思います。2期以降も見てみたいと思っています。

リンク

ダブリン初心者の日常

はじめに

この記事はダブリン Advent Calendar 2017の3日目である。
ダブリンで生活を始めておよそ5ヶ月。2017年の3分の1をダブリンで過ごした筆者の日々の中から、ダブリンぽさをごく一部切り取って紹介する。

ダブリンな日々

ダブリンの朝は暗い。
12月3日の日の出は8時20分である。
朝は暗闇の中で目覚ましを止め、日の出前の薄明の中で通勤電車を待つ。
ダブリンは高い建物がなく、空が広い。
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寒い。
緯度は北海道よりさらに高い(*)ので、むしろ暖かいと捉えるべきなのだろうが。
*北海道の北端が北緯45度、ダブリンは北緯53度
ふと携帯で天気を見る。
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Tallaght(タラ)はダブリン郡の内陸側、南西に位置する私の居住区域。
快晴の良い日だ。
最高気温6度、最低気温3度、そして現在の気温は−2度である。
意味がわからない。
時折確認する予想気温と体感が違うと感じていたがこれか。
 
私の通勤手段は路面電車「LUAS(ルアス)」。
駅に改札はなく、券売機とカード読取機がホームに1台〜2台設置されているのみ。
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お金を払わずに乗れそうだが、巡回の係員による抜き打ちチェックがある。
捕まれば罰金だ。
 
、、、と何やら電車の動きがおかしい。
度重なる急ブレーキに横のおばさんは「ジーザス・クライスト!」と2回も叫んだ。
おばさんの子供らしき少年は可笑しくてたまらない様子だ。
車内の灯りがついたり消えたりしている。
結局、車両がおかしいということで次の駅で全員降ろされた。
朝陽の中、後続の車両が詰まっている。
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特別なことだと思うかもしれない。
この経路を使い始めたのは4ヶ月前。
私は平日朝夕の2回しか乗らないが、この間に電車を降ろされたのは3回目だ。
日本の列車の可用性は素晴らしい。

ダブリンの天気は9割の確率で「概ね曇り(mostly cloudy)」だ。
天気予報を聞くまでもない。
そして大抵は一日のどこかで雨が降る。
と言っても雨はそれほど強くはならない。
それどころか降った30分後には陽が差していることもざらだ。
そのせいかダブリンでは虹を目にすることが多い
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歩く。
ダブリンでは誰も信号を守らない。
何をそんなに急いでいるのか、東京から来た私も驚くほど速く歩く人がいる。
単にせっかちなのかもしれない。
のんびり信号を待っている人がいたら観光客だろう。
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ダブリンの歩行者信号には黄色がある。
青の間だけ渡れ、という注意書きがあった。
なぜ実際の信号と同じ赤、黄、青の順序ではなく赤、青、黄の順で書いたのだろう。
色覚異常者率は日本より高いはずなのだが。
ちなみに、ほとんどの信号は青が3秒間くらいしかない(誇張ではない)。
その代わり(?)黄色が意外と長い。
信号が道行く人のせっかちに拍車をかけているように思えなくもない。

ダブリンでは夜の帳が下りるのも早い。
12月3日の日没は16時10分。
仕事が終わって外に出るともう暗い。
写真は職場近くのパブ、THE BARGE。
すっかり夜のようだがまだ17時を少し回ったところだ。
ビールについては2日目のt2hndさんの投稿を見て欲しい。 f:id:smile_0yen:20171201090146j:plain
帰りはスーパーで買物をすることが多い。
主に足の早い野菜を調達するためだ。
スーパーについては1日目のt2hndさんの投稿を見て欲しい。
私は普段はTescoで買い物をしている。
見ての通り陳列には若干のムラがある。
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食材を選びは気をつけなければならない。
消費期限切れでも構わず置いてある。
肉などは見た目も持った感じも違うのに同じグラム数が表示されている。
信じられるのは自分だけだ。
しかし東欧に住んだ経験のある私の妻は「期限が書いてあるんだ!」と感心していた。
彼らからしたら期限を書いているだけでかなり気を遣っているのかもしれない。
棚の奥に消費期限が遠いものが置かれるあたりは日本と同じだ。
買い物が終わったら帰路につく。
「日本の電車は世界の中でも特別に混んでいる。」
「海外ではあんなに無理して乗らない。」
そうかもしれないがここダブリンもなかなかの密度だ。
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車両に入り切らない荷物を挟んで扉が閉まる。
私は見送る側だ。
日本人だが、混んでいる電車が好きなわけではない。
普段から2〜3本ほど見送って、良いポジションが取れそうなタイミングで乗っている。
私の駅は終点の一つ手前なので乗車時間も長いのだ。

ダブリンについて

この僅かな期間で見たダブリンを一言で表すとすれば雑だけど憎めない子だ。
アイリッシュは話すのも速い。
何を言っているのかわからない。
だが、話してみると人は良い。
ダブリンはヨーロッパの他の主要都市と比較しても治安はいい。
悪気はないのである。
なんだかこちらも「まぁ、いいか」という気になってくる。
 
ちなみに気候だが、夏は比較的過ごしやすく日も長い。
朝起きる前には明るく、日没は夜10時過ぎになる。
 
観光地としての見どころはいろいろあるが「日常」の主旨にそぐわないので割愛する。
遊びに来たら、ついでに上に述べたような等身大の生活も少し気に留めてみて欲しい。
ダブリンという街との距離が、一歩縮まったように感じてもらえると思う。