ダブリン初心者の日常
はじめに
この記事はダブリン Advent Calendar 2017の3日目である。
ダブリンで生活を始めておよそ5ヶ月。2017年の3分の1をダブリンで過ごした筆者の日々の中から、ダブリンぽさをごく一部切り取って紹介する。
ダブリンな日々
朝
ダブリンの朝は暗い。
12月3日の日の出は8時20分である。
朝は暗闇の中で目覚ましを止め、日の出前の薄明の中で通勤電車を待つ。
ダブリンは高い建物がなく、空が広い。
寒い。
緯度は北海道よりさらに高い(*)ので、むしろ暖かいと捉えるべきなのだろうが。
*北海道の北端が北緯45度、ダブリンは北緯53度
ふと携帯で天気を見る。
Tallaght(タラ)はダブリン郡の内陸側、南西に位置する私の居住区域。
快晴の良い日だ。
最高気温6度、最低気温3度、そして現在の気温は−2度である。
意味がわからない。
時折確認する予想気温と体感が違うと感じていたがこれか。
私の通勤手段は路面電車「LUAS(ルアス)」。
駅に改札はなく、券売機とカード読取機がホームに1台〜2台設置されているのみ。
お金を払わずに乗れそうだが、巡回の係員による抜き打ちチェックがある。
捕まれば罰金だ。
、、、と何やら電車の動きがおかしい。
度重なる急ブレーキに横のおばさんは「ジーザス・クライスト!」と2回も叫んだ。
おばさんの子供らしき少年は可笑しくてたまらない様子だ。
車内の灯りがついたり消えたりしている。
結局、車両がおかしいということで次の駅で全員降ろされた。
朝陽の中、後続の車両が詰まっている。
特別なことだと思うかもしれない。
この経路を使い始めたのは4ヶ月前。
私は平日朝夕の2回しか乗らないが、この間に電車を降ろされたのは3回目だ。
日本の列車の可用性は素晴らしい。
昼
ダブリンの天気は9割の確率で「概ね曇り(mostly cloudy)」だ。
天気予報を聞くまでもない。
そして大抵は一日のどこかで雨が降る。
と言っても雨はそれほど強くはならない。
それどころか降った30分後には陽が差していることもざらだ。
そのせいかダブリンでは虹を目にすることが多い。
歩く。
ダブリンでは誰も信号を守らない。
何をそんなに急いでいるのか、東京から来た私も驚くほど速く歩く人がいる。
単にせっかちなのかもしれない。
のんびり信号を待っている人がいたら観光客だろう。
ダブリンの歩行者信号には黄色がある。
青の間だけ渡れ、という注意書きがあった。
なぜ実際の信号と同じ赤、黄、青の順序ではなく赤、青、黄の順で書いたのだろう。
色覚異常者率は日本より高いはずなのだが。
ちなみに、ほとんどの信号は青が3秒間くらいしかない(誇張ではない)。
その代わり(?)黄色が意外と長い。
信号が道行く人のせっかちに拍車をかけているように思えなくもない。
夜
ダブリンでは夜の帳が下りるのも早い。
12月3日の日没は16時10分。
仕事が終わって外に出るともう暗い。
写真は職場近くのパブ、THE BARGE。
すっかり夜のようだがまだ17時を少し回ったところだ。
ビールについては2日目のt2hndさんの投稿を見て欲しい。
帰りはスーパーで買物をすることが多い。
主に足の早い野菜を調達するためだ。
スーパーについては1日目のt2hndさんの投稿を見て欲しい。
私は普段はTescoで買い物をしている。
見ての通り陳列には若干のムラがある。
食材を選びは気をつけなければならない。
消費期限切れでも構わず置いてある。
肉などは見た目も持った感じも違うのに同じグラム数が表示されている。
信じられるのは自分だけだ。
しかし東欧に住んだ経験のある私の妻は「期限が書いてあるんだ!」と感心していた。
彼らからしたら期限を書いているだけでかなり気を遣っているのかもしれない。
棚の奥に消費期限が遠いものが置かれるあたりは日本と同じだ。
買い物が終わったら帰路につく。
「日本の電車は世界の中でも特別に混んでいる。」
「海外ではあんなに無理して乗らない。」
そうかもしれないがここダブリンもなかなかの密度だ。
車両に入り切らない荷物を挟んで扉が閉まる。
私は見送る側だ。
日本人だが、混んでいる電車が好きなわけではない。
普段から2〜3本ほど見送って、良いポジションが取れそうなタイミングで乗っている。
私の駅は終点の一つ手前なので乗車時間も長いのだ。
ダブリンについて
この僅かな期間で見たダブリンを一言で表すとすれば雑だけど憎めない子だ。
アイリッシュは話すのも速い。
何を言っているのかわからない。
だが、話してみると人は良い。
ダブリンはヨーロッパの他の主要都市と比較しても治安はいい。
悪気はないのである。
なんだかこちらも「まぁ、いいか」という気になってくる。
ちなみに気候だが、夏は比較的過ごしやすく日も長い。
朝起きる前には明るく、日没は夜10時過ぎになる。
観光地としての見どころはいろいろあるが「日常」の主旨にそぐわないので割愛する。
遊びに来たら、ついでに上に述べたような等身大の生活も少し気に留めてみて欲しい。
ダブリンという街との距離が、一歩縮まったように感じてもらえると思う。